菲律宾留学：提升英语能力和体验当地生活

フィリピンの空港を降りた瞬間、潮風と熱気、それに混ざるどこか懐かしい生活の匂いが鼻を突いた。ここでの留学は、単なる語学研修じゃなかった。英語力が、予想以上に、しかも思いがけない形で伸びていく感覚と、毎日が濃密なカルチャーショックの連続だった日々を思い返す。

学校はセブ島の語学学校を選んだ。最大の魅力はマンツーマンレッスンがふんだんにあることだ。一日に４コマ、５コマも先生と一対一で向き合う。最初はたった５分の会話もぎこちなく、自分の単語の貧しさに愕然とした。でも、逃げ場がない。先生が優しく、時に厳しく、間違いを恐れず話すことを強制してくる。一ヶ月もすると、不思議と口が動くようになった。テキストの枠を超えた、自分の本当の思いを伝えようともがくうちに、教科書には載っていない「生きている英語」が身についていく感覚があった。

生活そのものが授業だった。寮から学校までの道すがら、ジプニーというカラフルな乗合バスに挑戦する。行き先を叫ぶ運転手の早口英語を必死に聞き取り、お金を渡し、細かいお釣りをもらう。近所の小さな食堂「カレンダリア」で、見たこともない料理を指さして注文する。店主のおばちゃんは、拙い英語でもにこにこしながら、時には身振り手振りで説明してくれた。市場で値切り交渉をするのも、生きた英会話の実践の場だ。失敗しても、大抵は笑いに変えられる温かさがそこにはあった。

英語力の向上以上に大きかったのは、物事の見方が変わったことだ。学校のボランティア活動で訪れた地域のコミュニティ。物質的には決して豊かではないけれど、子供たちの笑顔は本当に輝いていて、家族や隣人との絆が強く感じられた。「リッチ」や「ハッピー」の定義が、揺さぶられた。週末の島巡りや、地元の家族と過ごす休日は、教科書では絶対に学べないフィリピンの心を教えてくれた。あの陽気さ、困った時に助け合う精神、「バヤニハン」と呼ばれる共同体意識に触れるたび、自分の価値観が更新されていくのを感じた。

もちろん、全てがバラ色ではなかった。慣れない環境でのストレス、時に感じる孤独感、衛生面や治安に対する細心の注意は常に必要だった。水道水が飲めないこと、停電が時々起こること、街中で貧富の差を目の当たりにすること… それらも含めて、フィリピンでの生活だった。不便さが逆に、現地の人々の工夫や強さ、そして自分自身の適応力を気づかせてくれた。

振り返ると、フィリピン留学は、英語という「道具」を磨く以上に、その道具を使って何を伝え、どう世界と関わり、自分自身をどう見つめるのかを深く考えさせられる経験だった。教室の外は、もっと広く、もっと深い学びの場だった。発音の癖はまだ残っているかもしれない。でも、間違いを恐れずに話す度胸と、異なる文化を理解しようとする好奇心は、確かにあの熱い島で鍛えられた。机上の勉強だけでは決して得られない、血の通った英語力と、人生の視野を広げる体験を求めるなら、迷わずフィリピンの扉を叩いてみる価値は十二分にある。あの潮風と笑顔が、あなたの世界をきっと広げてくれる。

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