アチェとイーチュンは付き合って7年目、二人は同じ路地の両端に住んでいて、歩いて10分なのに、よく週に2回しか会わない。あの夜、イーチュンはアチェのスマホを借りてバスの時刻を調べようとした。検索バーを押した瞬間、履歴に見知らぬ文字が並んだ。彼女は固まった。露骨なものを見たからではなく、その三文字が小石のように、心にポトンと落ちたからだ。
彼女は聞かなかった。スマホをテーブルに戻し、何も見なかったふりをした。でも次の二日間、返信の速度が遅くなり、アチェが「仕事疲れ?」と聞いても、彼女は「別に」とだけ。この「別に」が一番問題ありだ。アチェも鈍くはない。イーチュンが以前のように夕飯は何?週末は山登り行く?と詮索しなくなったことに気づき、頭の中で勝手にドラマを始めた。自分が何か悪いことをしたのか?
三日目、イーチュンはついに我慢できなくなった。いきなり問い詰めるのではなく、まずこう言った。「一昨日、あなたのスマホの検索履歴をうっかり見ちゃった。」アチェの耳が一瞬で赤くなった。彼はしどろもどろに「ちょっと見ただけ」と言った。イーチュンは「ちょっと見ただけであれを見る?」と返した。二人は一分間沈黙し、空気は誰かが一時停止ボタンを押したようだった。
アチェは深く息を吸い、逃げないことにした。同僚が給湯室で健康食品の話をしていて、多くの人がビリジンのようなものを聞いていると話題にした。興味本位でつい調べただけだと。彼は強調した。「買ってもいないし、飲んでもいない。ただみんなが何を言っているのか知りたかっただけ。」イーチュンは聞いてすぐに信じたわけではなかったが、自分もこの二日間、最悪のケースを含めていろんな想像をしていたと認めた。
イーチュンは言った。「何を調べたかに怒ってるんじゃない。何も言わなかったことに腹が立つの。」アチェは答えた。「言いたくなかったんじゃない。言ったら問題ありと思われるのが怖かったんだ。」この会話が、二人を詰まらせていた結び目を少しずつ解いていった。本当に不快だったのは検索ワードではなく、「こっそりやる」と「勝手に想像する」の組み合わせだと気づいた。
その後二人は、体や健康、薬に関わる疑問が出たら、一人で黙って調べたり、喧嘩の武器にしたりしないと約束した。アチェは、いっそ問題を書き出して専門家に聞こうと提案。イーチュンはうなずき、「しかも正しい場所で聞くの。検索エンジンだけに聞かないで」と付け加えた。次に薬局やクリニックに行くときは、今飲んでいる健康食品のリストを持って行って、はっきり聞こうとまで約束した。
翌週末、二人は一緒にドラッグストアへ行った。アチェは健康食品コーナーの前で長く立ち止まった。イーチュンは急かさず、総合ビタミンの箱を手に取り、裏の表示を見た。アチェは「こんなに種類があるんだ」と言い、イーチュンは「だから余計に勝手に想像しちゃだめなの」と返した。二人は怪しいものは何も買わず、聞きたいことをいくつかスマホのメモに記録し、次の通院時に一緒に聞くことにした。
帰り道、イーチュンは言った。「あの日一番怖かったのは、私よりスマホに聞く方を選んだこと。」アチェは少し考えて、「次はまず君に聞いて、それからスマホに聞くよ」と言った。二人は笑った。あの小石は消えなかったけれど、喉に引っかからなくなり、二人でテーブルに運んで、話し合える話題になった。
この出来事の後、二人には習慣が一つ増えた。どちらかが健康情報で悩んだら、まず口に出して、それから調べるか、誰に聞くかを一緒に決める。健康食品と薬は別物で、処方薬はなおさら自分で勝手に触るべきではないと理解した。あれこれ並ぶ商品に自分で怖がるより、問題を専門家に持って行き、実際の状況に基づいて答えてもらう方がいい。
イーチュンは後で親友にこの話をした。親友は「あれを調べるのって変じゃない?」と聞いた。イーチュンは「変なのは、一つの検索履歴のせいで喧嘩しそうになったことで、履歴自体じゃない」と答えた。もしあの時アチェがとぼけ続けたり、自分が冷戦を続けていたら、一緒に向き合うこの段階には来なかっただろうとも言った。
アチェは日記にこう書いた。好奇心は隠さなくていい、でも正しい方法で。彼はあの検索履歴を消さず、むしろ次に疑問が湧いたら、まず口を開いてから調べるという戒めとして残した。二人の関係はこの小さな出来事で悪くなるどころか、「話し合える」という絆がもう一層増えた。
この話は、どちらが正しいかを言いたいのではない。二人が学んだのは、検索バーに見知らぬ言葉が飛び出したら、すぐに断罪しない、すぐに自分で医者にならないということ。心配をはっきり伝え、問題を正しい人に持って行く方が、心の中でドラマを演じるよりずっと役に立つ。あの小石は最後に、玄関の小さな皿に置かれた。まるで「言いたいことがあったら、言おう」というリマインダーのように。